ある年のホノルルマラソン大会にて、あるクライアントの女性が、フルマラソン初挑戦で見事に完走（完歩？）という離れ業を成し遂げました。
そのレース中の様子やなぜそんな苦しいことをやろうと思ったのか、どのように完走できるにいたったのかをインタビューしました。これは、皆様の希望の星さらには健康の糧になると思います。トレーニングに限らず、より生き生きとした物事への挑み方、捉え方が参考になります。

その女性とは、ご自宅でご家族の介護の世話をしている川崎市在住の主婦（54歳）のケースです。多くの方が生活環境やトレーニング環境を、ダイナミックには変えられず諦めていることが多い中（維持することも大変なんですけどね）、果敢にライフスタイル変革にチャレンジし、腰痛なども克服している姿をインタビューします。

Q　なぜ走ろうと思ったのか？
・ダイエット
10キロ減量後、漠然と運動は行っていたが、思ったほどの結果が得られずモチベーションを探していました。
・42.195kmの先
ゴールを目指すランナー達に感動を覚えることがある。若いころなら、それを見て“すごい！”と思うだけだったがなぜか“体感したい！”と強く駆り立てられました。

Q　レース前はどんな心境だったか？
・自信をなくし、少し後悔もあった
3ヶ月の練習で、簡単には完走できない距離であることが分かってしまった。練習で1度も40kmの長さを経験していなかったです。

Q　レース中は、何を考え、どのような意識だったか？
・幸福の時間
30℃の照りつける太陽の下、タイムや足の不安、体のことなど何も気にならなかったです（できなかったのかな？）。家族、ジム仲間、トレーナーの励ましの言葉、練習時に疲れた体を押してくれた風、夜のトレーニングに伴走してくれた月、それらが走馬灯のように浮かび、頭の中で映画を見ているかのようなマラソンでした。

Q　ゴールしたときの感想は？
・情けなく空しい
両手を上げ、歓びに溢れてのゴールのはずが、現実は甘くなかった。40kmを過ぎた頃からなんとか意識をレースに集中したが、そのままゴールに着いてしまいました。“これからだったのに・・・”と、さびしい気持ちで胸がいっぱいだったです。（このように回想できることは、高いポテンシャルを秘めている裏返しであり、パワーの源だと思います。：トレーナー談）

Q　レースの雰囲気はどんな感じだったか？
・お祭り
アスリート・障害者・90才台まで一般市民が誰でも自由に参加できるので、みんなが走るのを楽しんでいました。レースが終わった人たちは、完走者のみに与えられるTシャツを着て、後から来る人たちに声援を送っていました。最終ランナー（15時間以上のタイム）がゴールするまで役員の人たちは、みな見守り待っている優しい大会でした。

Q　レースのために、どんな準備や心構えをしたか？
・ジムでの走れる体づくり
一度もマラソンの経験がなく、トレーナーに3ヶ月のプログラム作成をお願いした。ランニングフォーム、呼吸、手の振り方を全部一緒になって付き合っていただいた。
『何時間かかってもいいんだよ。』と言われ、妙な根拠のない自信をつけていた。“絶対に棄権だけはしない”と決めていた。

Q　現在の心境は？
帰りの飛行機中で次のレースのことばかり考えていた。悔しいという気持ちを久々に味わったが、これから人生のゴールまでで完走記念のTシャツを何枚手に入れられるかな？なんてポジティブにもなれた。初めて1人で海外に行けたし。それだけで立派だといってくれた家族。42,195km（死にいく覚悟）と覚えたこの距離、このレースを体感できて、本当に幸せでした。

トレーナー談:
粉骨砕身という感じですが、ふとしたきっかけやこつこつとした時間の積み上げ、ちょっとした勇気などあれば何でもできる。（アントニオ猪木みたいになっちゃった）　みなさんの元気タンクはどうですか？最後にご本人の言葉で締めたいと思います。－思えば叶う、気持ちが大事－