フルタイムワーカーとして活躍する横浜市在住の女性税理士さん(75歳)のケースです。
長期的リハビリや身体ケアとして週に1回ペースを6年以上のご指導を担当しています。山登りで痛めた膝痛を何とか治したいとのご要望でした。加えてお仕事仲間との交流でのアクティブな毎シーズンのご旅行や合唱サークルでの活動といった非常にアグレッシブな生活状態を維持しています。そんな中で膝関節の休養や安静は中々難しい状況でした。

まず筋トレ自体も、とにかくアグレッシブにやられる方で、指導中に鼓舞する私との勝負には負けないくらいに年齢を感じさせないエナジーを発揮されています。トレーニングセットが終わるごとに「よくやったわ」と汗を拭きながら、自画自賛する様子はまるで、最後のゴールに倒れこむ箱根駅伝の学生ランナーにも見えてきますね。素晴らしいことだと思います。
ここでふと思うのは筋トレをしながら汗をかいているようなケースがあまりスポーツクラブなどでは見られない事です。整った空調環境のせいかもしれませんが、多少の汗、心拍数の増加など循環器系にもある程度のストレス(運動負荷)をかける事が大切です。代謝機能、神経、ホルモン系も動いているわけなので、筋肉だけしか影響はありませんという限定的な効果に留まっている必要はありません。そういった面で女性税理士さんはある意味模範なのです。

筋トレの目的として、膝の伸展性を維持していただく事、片脚立位での安定性の向上していただく事としています。パワー依存傾向でとにかく一生懸命にやればなんとかなるを卒業し、立ち方、歩き方、力の入れ方などの感覚的、動き方のスキルを少しずつ身に着けてきた事が重要です。また中高年によくある猫背の姿勢改善にも取り組んでいます。膝関節は、脊柱や股関節と足関節の間にあり、それらのアライメントに影響を受けるからです。だから姿勢美人になるのも膝痛緩和には関連してくるのです。

トレーニング後に必ず膝関節の調整・ケアを行います。痛みの主要因だと思われる膝関節周囲の多量の脂肪体の癒着を絶えずリリースしています。これは病院ではあまり診ない処置のパターンでしょう。
女性に多いO脚や下腿の捻じれも、改善の対象であり骨格や姿勢の調整を行っています。クールダウンとしても有効なタイミングであるし、筋力の弱さだけが痛みの原因ではないケースが多いからです。

年齢的に完全治癒までとはいかないけれど、膝のコンディショニングを維持し続ける事は当面のミッションであり、手術という結果には至らない事を念頭に置いています。コロナ禍では屋外でのウォーキング指導への切替をしました。緊急事態宣言下には、3密を避けて税理士事務所の傍らに折り畳みの施術ベッドを持ち込んで指導実施するなど今となっては良い思い出です。苦労やストレスに対して工夫していくことはまさしく協同作業でしたね。

高齢者になると体力健康レベルは大きく二極化していくと言われています。介護医療の文明にお世話になるか、スポーツクラブや旅行という文化を楽しめるか。生活観、健康観、身体観などの物事の捉え方がその二極化の分かれ道になるのではと気づかされます。簡単にいうとつまり”生き方”。そういった事で随分とクライアント様から私の方こそ刺激を頂いているのです。

クライアントご本人談:
何事も関わる人、指導する人との人間的な関わりや信頼関係ある意味で相性もあります。この人ならついていこうと思い変わっていく。継続していく事にはそうした関係性がとても重要です。ある月日をかけてやっと自覚できてきたトレーニング方法、痛みを考えながらの歩行の修正など慣習による癖のある身体の動きに気づきをもらいました。